「そろそろ施設を考えたほうがいいのかもしれません。」
そう話してくださったのは、70代のお母さまの息子さんでした。
お母さまは今も元気で、家事もご自身でこなされています。
だからこそ、「まだ大丈夫」「人の世話にはなりたくない」という言葉も、
とても自然なことでした。
息子さんは、転倒や夜間の不安を考えて、
「今のうちに安全な環境を整えておきたい」と前向きに考えておられました。
けれど、その優しさをどう伝えればいいのか分からず、
ただ静かに悩まれているようでした。
ご本人とご家族、それぞれの想い
私たちは、お二人の想いをそれぞれにお聞きしました。
お母さまには、「どんな暮らしがいちばん落ち着くのか」。
息子さんには、「どんな時に不安を感じるのか」。
言葉にしていくうちに、
「安心して、自分らしく暮らしてほしい」という気持ちは、
どちらにも同じようにあることが、少しずつ見えてきました。
気持ちが重なった、ある見学の日
見学を重ねたある日、
お母さまがふと、
「ここなら、自分のペースで過ごせそうね」とつぶやかれました。
その瞬間、息子さんがやさしくうなずかれたのを、
私たちは今でもよく覚えています。
施設選びは「説得」ではなく「対話」
施設を決めるというのは、
誰かを説得することでも、正解を探すことでもありません。
それは、
気持ちをそろえていく時間なのだと思います。
そして、その時間をゆっくり過ごすことが、
これからの「安心」につながっていくのだと、私たちは感じています。
ご本人の気持ちも、ご家族の想いも、
どちらも大切にしながら──
私たちは今日も、その人らしい選択を見つけるお手伝いをしています。
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